[お知らせ]


2014年1月10日金曜日

第5回薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせ

ツイキャス配信日時:平成26119日(日曜日)
■午後2045分頃 仮配信
■午後2100分頃 本配信
なお配信時間は90分を予定しております。

※フェイスブックはこちらから→薬剤師のジャーナルクラブFaceBookページ
※ツイキャス配信はこちらから→http://twitcasting.tv/89089314
※ツイッター公式ハッシュタグは #JJCLIP です。
※ツイキャス司会進行は、精神科薬剤師くわばらひでのり@89089314先生です!

[はじめに]
保険薬局店頭での血糖測定とそれに基づく受診勧奨や食事運動指導。今回のこのテーマを取り上げるかどうか、本当に迷いました。既にこのような取り組みに尽力されているご施設もあるかと思いますし、地域薬局における患者とのかかわり方の一つとして健康フェアのような取り組みは大変重要だと認識しています。決してその取り組みを否定するものではありません。
今回のテーマは2型糖尿病です。血糖値が基準値から外れている、という状況をどう考えていけばよいのでしょうか。少なくとも僕は学生時代、あるいは調剤薬局勤務時代でさえもきちんと学んでこなかったように思います。
そもそも2型糖尿病の薬物治療においては現状行われている薬物治療とエビデンスとのギャップは少なからず存在します。

また2型糖尿病ではどの時点で薬物療法を開始すべきか、という明確なエビデンスがない(※※)中で、2型糖尿病のスクリーニング、すなわち早期発見にどのような意義があるのか、早期発見することが良い、悪いという2言論ではなく、早期発見がもたらすものについて是非、一緒に考えてみませんか?

(※※)米国糖尿病学会は診断時よりメトホルミンを開始するように推奨しているが、心血管イベントの潜在的なリスクは欧米人と日本人では大きく異なり、必ずしもこれが日本人に当てはまるとは考えにくい。ハーバード大学関連施設であるJoslin Diabetes CenterのガイドラインではHbA1c7.0%以上で薬物療法開始としているが、症例ごとに個別化されるべきである。

前置きが長くなりました。この問題を取り上げないという事は薬剤師にとって貴重な議論の場を失うものとしてあえて取り扱いたいと思います

症例5.糖尿病検診は積極的に受けたほうが良いですか?

[仮想症例シナリオ]
あなたはある保険薬局の薬剤師です。地域医療への関わりをさらに強化しようと、エリアマネージャーの立場にある、あなたは新しい取り組みを考えることになりました。患者の同意を得て、薬局店頭で血糖簡易測定器を用いて血糖測定を行い、必要に応じて食事・運動療法や医療機関の受診勧奨を行うというものです。なお取り組みに当たり、採血は患者自身が行い、採血針の廃棄方法や血糖測定器の使用法、臨床検査値や食事・運動療法に関する学術的知見など母校の大学と連携し当該教授指導の下、また受診勧奨においては特定の医療機関を勧めない旨など会社上司の許可も得て、順調に取組準備を始めていたあなたはWEB上で情報収集をしていると、ある医療者向けサイトで気になる記事を見つけます。
この記事を読んだあなたは、にわかに信じがたいと感じ、原著論文を読んでみることにしました。

[文献]
Simmons RK, et al Screening for type 2 diabetes and population mortality over 10 years (ADDITION-Cambridge): a cluster-randomised controlled trial. Lancet. 2012 Nov 17;380(9855):1741-8 PMID: 23040422



この試験は参加者個々をランダム化する通常のランダム化比較試験ではなく、群単位でランダム化するクラスターランダム化比較試験が採用されています。クラスターランダム化比較試験は地域や施設をひとつの単位(クラスター)としてランダム化した研究です。通常よく目にするランダム化比較試験は、患者1人を単位としてランダム化しています。保健分野やガイドラインを使用したランダム化比較検討試験のような場合、クラスターランダム化比較試験が適しているといわれています。基本的にはランダム化比較試験の時と同じように批判的不吟味すれば良いと思います。

[考察例]
シナリオには対象患者が明確に規定されていませんが、様々な症例を想定しながら潜在的なリスクを加味し論文の結果を用いながら以下点を考察してみると良いかもしれません。
■対象参加者の心血管リスクはどの程度を想定するか?(合併症の有無・年齢等)
■食事・運動療法がもたらすものは何か?
■糖尿病薬物治療がもたらすものは何か?
■早期発見がもたらすものは何か?
QOLとは何か?


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薬剤師のジャーナルクラブでは取り上げてほしい話題や、共有したい疑問を募集中です。また当ジャーナルクラブへのご意見・ご質問もぜひぜひお寄せください。できる限り対応させていただきます。連絡先は当ブログコメント欄やフェイスブックページから、又はツイッターアカウント@syuichiao 宛てにご連絡をいただけましたら幸いです。



薬剤師のジャーナルクラブ(Japanese Journal Club for Clinical Pharmacists:JJCLIPは臨床医学論文と薬剤師の日常業務をつなぐための架け橋として、日本病院薬剤師会精神科薬物療法専門薬剤師の@89089314先生、臨床における薬局と薬剤師の在り方を模索する薬局薬剤師 @pharmasahiro先生、そしてわたくし@syuichiao中心としたEBMワークショップをSNS上でシミュレートした情報共有コミュニティーです。

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